「祈りよりも速く、嘆きよりも鋭く」
ここはグランサイファー内の食堂、太陽差し込む窓際席。
双子の姉弟エッセルとカトルは半分氷の溶けたグレープフルーツジュースをかき混ぜながら何やらあーでもないこーでもないとくだを巻いている。
もっとも、カトルのほうが一方的に喋りそれにエッセルが相槌を打つという形ではあるのだが…
「だから姉さん聞いてる?さっきの話だけど。」
「ん…ちゃんと聞いてるよ。」
エッセルはグレープフルーツジュースを一口飲むと脚を組み直してカトルに向き合う。
「頭目、この間も何かやらかしたみたいで団長さんにこっぴどく叱られててさ、全くあんなのが僕らの上司なんて十天衆の名が廃るよね。」
「ん…そうだね。でもシエテはシエテで頑張ってるとこもあると…思う。」
「姉さんは甘いんだよ。そういうところが。」
カトルのグラスの氷がカラン、と音を立てて沈む。
沈殿し始めたグレープフルーツをまたかき回す。
「…まぁ、星屑の街の警護に当たってくれたり、僕たちを拾ってくれたり…感謝はしてるよ?あ、これ僕がこんなこと言ってたって死んでも言わないでよ?いくら姉さんでも容赦しないよ。」
「フフ…大丈夫、言わないよ。それより…」
−−−あと一人、話題に出て来ていないメンバーが居るじゃない?
ギクリ、とした様子でカトルは一瞬耳をぴん、と立て直ぐにバツが悪そうに斜め右に目線を逸らした。
触れられなくなかったことを。あえて口に出さなかったことを。
しかしメンバーの話をしているのに奴1人だけの話をしないというのもおかしな話ではある。
ここは腹を括るしかないのか。
「あいつの…シスさんの」
カトルは溜息をつき残っていたグレープフルーツジュースを焦燥感と一緒に一気に煽ると席を立った。
「姉さん何か食べない?飲み物の追加ついでに貰ってくるよ。」
「ん…じゃあ甘いもの、お願い。」
「わかった。姉さんの判断に従うよ。」
空になったグラスを持ちカウンターへ進む弟の背中をぼんやりと眺めながら、エッセルは想うのだ。
ーーー願わくば、あの子の一筋の希望とあらんことを。
「お待たせ姉さん。自家製チョコチップクッキー、焼き立てだってさ。」
「ん…ありがとう。まだ温かいね。」
双子の姉弟エッセルとカトルは半分氷の溶けたグレープフルーツジュースをかき混ぜながら何やらあーでもないこーでもないとくだを巻いている。
もっとも、カトルのほうが一方的に喋りそれにエッセルが相槌を打つという形ではあるのだが…
「だから姉さん聞いてる?さっきの話だけど。」
「ん…ちゃんと聞いてるよ。」
エッセルはグレープフルーツジュースを一口飲むと脚を組み直してカトルに向き合う。
「頭目、この間も何かやらかしたみたいで団長さんにこっぴどく叱られててさ、全くあんなのが僕らの上司なんて十天衆の名が廃るよね。」
「ん…そうだね。でもシエテはシエテで頑張ってるとこもあると…思う。」
「姉さんは甘いんだよ。そういうところが。」
カトルのグラスの氷がカラン、と音を立てて沈む。
沈殿し始めたグレープフルーツをまたかき回す。
「…まぁ、星屑の街の警護に当たってくれたり、僕たちを拾ってくれたり…感謝はしてるよ?あ、これ僕がこんなこと言ってたって死んでも言わないでよ?いくら姉さんでも容赦しないよ。」
「フフ…大丈夫、言わないよ。それより…」
−−−あと一人、話題に出て来ていないメンバーが居るじゃない?
ギクリ、とした様子でカトルは一瞬耳をぴん、と立て直ぐにバツが悪そうに斜め右に目線を逸らした。
触れられなくなかったことを。あえて口に出さなかったことを。
しかしメンバーの話をしているのに奴1人だけの話をしないというのもおかしな話ではある。
ここは腹を括るしかないのか。
「あいつの…シスさんの」
カトルは溜息をつき残っていたグレープフルーツジュースを焦燥感と一緒に一気に煽ると席を立った。
「姉さん何か食べない?飲み物の追加ついでに貰ってくるよ。」
「ん…じゃあ甘いもの、お願い。」
「わかった。姉さんの判断に従うよ。」
空になったグラスを持ちカウンターへ進む弟の背中をぼんやりと眺めながら、エッセルは想うのだ。
ーーー願わくば、あの子の一筋の希望とあらんことを。
「お待たせ姉さん。自家製チョコチップクッキー、焼き立てだってさ。」
「ん…ありがとう。まだ温かいね。」